幾何学と不変量 読書ノート 9/10

幾何学と不変量 読書ノート 8/10 からの続き。

第 9 章 射影変換と不変量

9.1 射影空間と連比

連比

\({[z_0 : ... : z_n] = [\alpha z_0 : ... : \alpha z_n ] (z_i \in \CC, \alpha \in \CC^\times)}.\) オールゼロのものを除く。

射影空間

連比全ての集合であり、これを \(\mathbb{P}^n\) と記す。

斉次座標

上記の各 \(z_i\) のことを言う。本ノートでは漢字変換の都合で同次座標と記す。

包含写像

写像 \({\iota: \CC^n \hookrightarrow \mathbb{P}^n}\) で、複素ベクトルに、そのベクトルの全成分に加えて、最後に 1 を付け加えた連比を対応させるもの。

  • これは単射。

  • 包含写像を表すのに、本文にあるような変な矢印を描く。

有限点 or 通常点

射影空間の点であり、最後の成分がゼロでないものをそう呼ぶ。

無限遠点

\({w = [w_0 : ... : w_{n - 1} : 0]}\) のタイプの点。

\(\mathbb{P}^n = \CC^n \cup \mathbb{P}^{n - 1}.\)

基本アフィン開集合

開集合 \({U_j = \set{[w_0 : ... : 1 : ... w_n] \sth (w_0, ..., \widehat{w_j}, ..., w_n) \in \CC^n}}\) のことをそう呼ぶ。

  • \(U_j\)\(\CC^n\) と同型になる。

  • \(U_j\)\(\mathbb{P}^n\) に位相を入れられる。

9.2 射影

1 次元トーラス群

\(\CC^\times\) のこと。

この群は \({\CC^{n + 1} \minuszero}\) にスカラーの乗算により自然に作用している。\({\mathbb{P}^n \cong (\CC^{n + 1} \minuszero) / \CC^\times}\) と書ける。

射影空間

ベクトル空間 \(V\) に対して \({\mathbb{P}(V) = (V \minuszero) / \CC^\times}\) をそう呼ぶ。

  • \({\mathbb{P}(V) = \mathbb{P}^n}\) とも記す。肩の \(n\) は多様体次元であって、ベクトル空間のそれではない。

  • \(\mathbb{P}(V)\) は多様体だが \({V / \CC^\times}\) のほうはハウスドルフ空間ですらない。

  • 2 ベクトルの張る部分空間を射影化すると、射影直線と同型となる。

(射影)部分空間

\(k\)\({[a_1], ..., [a_k] \in \mathbb{P}^{n}}\) を含む最小の射影空間のことをそう呼ぶ。

一般の位置

\(\set{a_i}\) が V で一次独立であること。\({\mathbb{P}(W) \cong \mathbb{P}^{k - 1}}.\)

9.3 射影変換

射影変換

射影空間から自身への自己同型写像。行列を使う。\({g \in \mathit{GL}_{n + 1}(\CC), V = \CC}\) をとる。自己同型写像 \({\pi_g: [v] \longmapsto [gv]}\)\(\mathbb{P}(V)\) の射影変換であるという。

射影一般線形群

\({\mathit{PGL}_{n + 1}(\CC) \coloneqq \mathit{GL}_{n + 1}(\CC)/\CC^\times}\)\({\mathbb{P}^n}\) 上の射影変換のなす群となる。

アフィン変換群

スペースの都合で書けないが、この三次正方行列のなす群を \(A_2(\CC)\) と書いてアフィン変換群と呼ぶ。

  • この変換は複素平面を保つ。

9.4 一次分数変換

\({n = 1}\) として射影変換 \(\pi_g\) を考える。この写像は以下のようにして \(\mathbb{P}^1\) に作用する。

\[\begin{split}\pi_g(z) = \begin{cases} \dfrac{az + b}{cz + d} & \quad \text{if } cz + d \ne 0,\\ \infty & \quad \text{if } cz + d = 0. \end{cases} \qquad \pi_g(\infty) = \begin{cases} \dfrac{a}{c} & \quad \text{if } c \ne 0,\\ \infty & \quad \text{if } c = 0. \end{cases}\end{split}\]
  • 定理 9.9: \(\mathbb{P}^1\) 上の一次分数変換のうち、上半平面を保つものは \(\mathit{SL}_2(\RR)\) から取れる。

  • 定理 9.10: 上半平面は \({\mathit{SL}_2(\RR)/\mathit{SO}_2(\RR)}\) と同型。

9.5 複比

複比

\(\mathbb{P}^1\) 上の相異なる 4 点 \([v_i]\) に対する次の値を複比という:

\[\operatorname{cr}([v_1], [v_2]; [v_3], [v_4]) = \frac{D_{13} D_{24}}{D_{14} D_{23}}.\]

ここで \({D_{ij} = \det(v_i v_j)}\) とする。

  • 定理 9.13: 射影変換による複比の不変性。

  • 定理 9.14: それは一時分数変換である。

  • 定理 9.15 は見覚えのある主張のはず。

9.6 円と複比

  • 複素数に対してはその複比を次のように計算してもよい:

    \[\operatorname{cr}([z_1], [z_2]; [z_3], [z_4]) = \frac{z_1 - z_3}{z_1 - z_4} \frac{z_2 - z_4}{z_2 - z_3}.\]
  • 定理 9.19

    1. 円円対応

    2. 円周上の相異なる 4 点の複比は実数。

    3. 前節の 3 点定理を用いる。

9.7 不変式としての複比

この節を読むのには相当な気力が要る。

9.8 プリュッカーの関係式とプトレマイオスの定理

  • 定理 9.26: 射影直線上の 4 点の複比 \({\lambda = \operatorname{cr}(p_1, p_2; p_3, p_4)}\) について、点の順序を入れ替えた複比はどれも \(\lambda\) の有理関数として表される(全部で 6 通り)。

  • 定理 9.27: プリュッカーの関係式。\({(v_1, ..., v_4) \in M_{2,4}(\CC)}\) に対して 9.5 の記号と同じものを用いると \({D_{12}D_{34} + D_{13}D_{42} + D_{14}D_{23} = 0}.\)

  • 定理 9.29: プトレマイオス 円に内接する四角形の相対する二組の辺の積の和は、対角線の積に等しい。

9.9 射影直線上の点配置と j 不変量

9.7 節同様に難しい。

半直積群

\({(\tau, t) \cdot (\sigma, s) = (\tau \sigma, t^\sigma s)}\) という演算で直積に群の構造を入れる。

\(j\) 不変量

\({j(p_1, p_2; p_3, p_4) = 2^8 (\lambda^2 - \lambda + 1)/(\lambda^2 (1 - \lambda)).}\)

不変量に関するトピックが全然頭に入らなくなって来ている。