Microsoft PowerToys 利用ノート¶
Microsoft PowerToys についての雑多なノートを綴る。
Note
本ノートを記すのに用いている Windows および PowerToys のバージョン情報はそれぞれ次のとおりだ。
- OS:
Windows 10 Home version 22H2
- PowerToys:
v0.62.0+
なぜ PowerToys を導入するのか¶
今のところ特に理由はないが、いざというときの選択肢を増やしておく意味はある。
事前条件¶
インストールまたはアップグレードの際には OS がインターネットに接続されており、かつ winget が利用可能であるものとする。
インストールとアップグレード¶
インストール方法は複数あるが、winget での JSON ファイルから他のソフトウェアと一斉にインストールする運用を想定している。
PowerToys 単体をインストールするならば、コンソールから次のコマンドを実行する:
> winget install -e --id Microsoft.PowerToys
PowerToys のアップグレード手段はインストールのそれ以上に用意されている。通常はアプリケーションの既定の設定である自動更新が有効になっているのに頼ればよい。手動で更新したい場合には、PowerToys 設定画面のボタン更新プログラムを確認するを押して、あとは手なりで進行する。あるいは winget の一括アップグレード運用で更新されるだろう。
ユーティリティー概要¶
PowerToys は各種アプリケーションの複合体と考えるほうがわかりやすい。アプリケーション同士の連携は全くないものと捉えるべきだ。
以下では PowerToys をそれぞれのアプリケーション単位について簡単に述べていく。きちんとした仕様は先述の文書のリンク先各ページに述べられている。
Always on Top¶
Always on Top はアクティブウィンドウを画面のいちばん手前に固定する機能だ。 HTML の語彙を借りると z-index を他のウィンドウのどれよりも大きい値にする機能だ。
使い方としては、対象となるウィンドウがアクティブ状態であることを確認後、 WinKey + Ctrl + T を押す。するとウィンドウの枠が太くハイライトされ、機能が有効であることがわかりやすくなる。
この状態を元に戻すには、再びこのショートカットキーを押す。
機能設定欄では、機能有効時のウィンドウ外観や、効果音の有無、当機能を設定しないプロセス名を登録することができる。
活用法としては、テキストエディターを最大化した状態で、別のプログラムを観察するときにそのウィンドウを小さくして横に並べるというようなものが思い浮かぶ。
Awake¶
一般的には、一定時間入力がないと OS としての Windows はディスプレイを切り、スリープまたはサスペンドモードに移行する。この動作は内部的には「電源とスリープの設定」に従う。 PowerToys Awake は、この OS 設定を上書きすることができる。つまり、Windows を起動したままにする機能を有するユーティリティーだ。何らかの長時間処理を実行するときに、スリープやサスペンドから抑止するという用途にうってつけだ。
動作¶
モードでは、本ツールが有効であるときに PC の状態の管理方法を指定する。決定できるのは次の三つのいずれかとなる:
- 選択した電源プランを引き続き使用する
PC 本来の電源プランを適用する。つまり当ツール固有の機能を用いない。
- 無期限に起動したままにする
この設定を変更するまで、PC の通知、実行を維持する。
- 一時的に起動したままにする
設定画面のタイマーで設定されている一定時間 PC を起動させ続ける。時間切れになると、PC 本来の電源プランに戻る。
画面をオンにしたままにするは PowerToys Awake によって PC を起動状態にしているときに、ディスプレイを点けたままにするかどうかを切り替えられる。既定では PC がスリープ状態にならなくてもディスプレイは切られることに注意。
その他の UI¶
PowerToys Awake が有効であるとき、Windows のタスクトレイに専用アイコンが出現する。そのメニューから上述のモードを設定することができる。
また、PowerToys フォルダーから PowerToys Awake を独立プロセスとして直接実行することもできる。コンソールから PowerToys.Awake.exe を実行する場合には、コマンドラインオプションを指定することもできる。引数なしで起動すると、Awake は無期限に起動したままにする相当の挙動を呈する。
Color Picker¶
Color Picker は Photoshop のスポイトツールをデスクトップ全体に持ってきたかのような機能だ。画面上の任意の点をマウスでクリックすると、その色がいったん保存される。この情報を、あらかじめ取り決めていた表現形式のテキストとして「貼り付ける」こともできる。
ショートカットキーは WinKey + Shift + C.
例えば色を見たいだけの場合には、設定を色の選択のみに簡略化しておく。
FancyZones¶
FancyZones はデスクトップ上のウィンドウ群を対象とするレイアウトマネージャーだ。設定画面でデスクトップを何らかの区画群に分割しておき、マウスまたはキーボード操作でアクティブウィンドウを任意の区間にフィットさせるものだ。 FancyZones の説明文では、この区画一つのことを zone と称している。
Note
撮影が面倒なのでここには載せないが、スクリーンショットを見ると理解しやすい。
レイアウト編集画面¶
キーボード WinKey + Shift + @ で FancyZones 機能の有効化をし、同時にレイアウト編集画面を開く。テンプレートを基にゾーンを細分してカスタマイズしておき、それを有効化しておくのがより一般的な設定様式だ。
ウィンドウをゾーンへ配置する¶
マウスを使う場合には、配置をするウィンドウのタイトルバーを Shift キーを押しながらドラッグする。キーを押すタイミングはドラッグ前でも途中でもかまわない。
ウィンドウを動かしているとゾーンがプレビューされるので、所望のものがハイライトされたらドロップする。
ゾーンとゾーンの間にマウスを移動させたり、Ctrl キーも押していたりすることで、隣接するゾーンを考慮して最終的なウィンドウの配置が決定する。
キーボードなど¶
オプションゾーンの切替が有効であると、次のショートカットキーが有効になる。現在のゾーンにウィンドウが複数あるときに、アクティブウィンドウを順次切り替える。
WinKey + PgUp
WinKey + PgDn
オプション Windows スナップのオーバーライドが有効であると、次のショートカットキーが有効になる。アクティブウィンドウを各ゾーンにゾーン番号順に順次シフトする。
WinKey + ←
WinKey + →
相対位置に基づいてシフトする方式もある。レイアウトによって使い分けるのがわかり易いだろう。
より繊細な設定¶
Todo
使いこなせるようになったら追記する。
File Explorer add-ons¶
File Explorer add-ons は Windows のエクスプローラーのプレビュー表示を拡張する。ファイルのサムネイル表示とプレビューウィンドウ Alt + P にイメージが反映される。例えば Markdown ファイル、SVG ファイルのプレビューができるようになる。これは助かる。
驚いたことに STL ファイルや OBJ ファイルもプレビュー表示対応している。 Utah ティーポットのデータをマウスドラッグで回転させることすら可能だ。
Image Resizer¶
Image Resizer は Windows エクスプローラーのコンテキストメニューを拡張し、画像ファイルに対して作用する。画像の寸法を前もって設定しておいたものに拡縮する機能だ。汎用画像編集アプリケーションを起動するのが億劫な場合に活用できる。
まずは Image Resizer を有効化するを ON にする。
コンテキストメニュー¶
エクスプローラーで Image Resizer が対応している画像ファイルを選択してコンテキストメニューを表示させると、次の項目がメニューにある:
画面のサイズ変更
右に回転
左に回転
サイズ変更コマンドだけが追加入力を要求する。
出力ファイルに関する設定¶
ファイルの各設定を次のようにしておく:
ファイル名の形式をより単純にする。たとえば %1-%2
くらいでいい。
ファイルの変更されたタイムスタンプを元のファイルのタイムスタンプに変更する。
Keyboard Manager¶
Keyboard Manager はフリーウェアでありがちな、キーボードのキーを入れ替える機能を有する。もっと細かい機能があるのだが、ややこしいのでこれだけでいい。
設定画面の Keyboard Manager を有効にするを ON にすることで、以下の再マップ機能が利用可能になる。
キーの再マップで表示される画面で、キーボードの物理的なキーから仮想的なキーへの対応を定義する。指定方法は GUI から明らかだろう。このキー対応はウィンドウ全てで有効になる。
ショートカットの再マップで表示される画面では、プログラムレベルのウィンドウごとに対応を定義するようなものだ。しかもキーからキーへの対応というよりは、ショートカットキーからショートカットキーへの対応となる。
Mouse Utility¶
最初の二つの機能が有用だ。画面をビデオキャプチャーするときに意識するといい。部分機能ごとに外観および動作設定画面が用意されている。
マウスの検索¶
マウスカーソルを揺さ振るか、左 Ctrl を二度押すかのどちらかの操作で、マウスカーソルの位置をハイライトする。
マウスの検索を有効にするを ON にすることで、この機能が有効となる。
アクテイプ化の方法では、上述の操作をどちらにするのかを指定する。
除外するアプリにプログラム名を追加すると、そのプログラムのウィンドウがアクティブであるときに当機能はマウス検索を行わない。Dungeon Master RTC に適用することが考えられる。
マウス蛍光ペン¶
マウスクリック(左右どちらか)時にカーソル近傍を丸くハイライト表示する機能だ。
マウス宝光ペンの有効化を ON にすることで、この機能が有効となる。
マウス操作中にアクティブ化のショートカットで指定されているショートカットキーを押すことでハイライトをするか否かを決める。初期設定ショートカットキーは WinKey + Shift + H だ。
マウスホインターの十字線¶
当機能は私には用途がないので省略。
PowerRename¶
PowerRename は Linux におけるコマンド rename の GUI 版と解釈できる。
エクスプローラーでファイルを普通は複数選択する。
コンテキストメニューを表示する。設定次第では Shift キーを押したまま表示する。
項目 PowerRename を選択する。
すると大仰な画面が表示される。左側のテキストボックス二つを操作する。Linux の rename の要領で、置換前後のファイル名パターンを指定する。
PowerRename を有効化するを ON にすることで、エクスプローラーのコンテキストメニューが本機能に対応する。
オプション設定は変更しないでいいだろう。
PowerToys Run¶
PowerToys Run は Windows におけるファイル名を指定して実行ダイアログボックスをさらに一般化したようなランチャーだと考えられる。
機能を有効するには、次をすべて実施する:
PowerToys 本体をとにかく起動状態にしておく。
当機能設定画面の PowerToys Run を 有効化するを ON にする。
ランチャーを開くにはショートカットキー Alt + Space を押す。このキーバインドは元来、タイトルバーを持つウィンドウの左上アイコンを右クリックするときに表示されるメニューを出すコマンドだ。
ランチャーを起動すると大きいテキストボックスが表示されるので、何文字かタイプするといい。候補がいくつかポップアップする。そこから目当てのアイテムを選択すればいい。使っているうちに起動できる対象が徐々に判明していくだろう。
より繊細な設定¶
Todo
使いこなせるようになったら追記する。
Quick Accent¶
Quick Accent はアルファベット一文字を入力するときに、アクセントを手軽に付与する機能を提供する。
使ってみるとキー操作が難しい。例えば文字 a にウムラウトをつけたいとする。このとき、まずキー A を押し、そのまま離さずに Space を押すと画面上に次のボタンからなるツールバーが出る:
à â á ä ã å æ
Space か左右の矢印キーを叩いて所望の文字、この場合には左から四番目の文字を選択して A キーから指を離すことで入力中の文字が入れ替わる。
Screen Ruler¶
Screen Ruler はマウス操作で画面上の寸法を測るユーティリティーだ。ショートカットキー WinKey + Shift + M で起動する。
ウィンドウのサイズを測るのに利用するのが自然だと思うが、本機能は「線」を検出できる箇所同士ならばどこでも長さを測る。何か面白い用途があるかもしれない。
Shortcut Guide¶
Shortcut Guide は Windows のショートカットキー一覧を表示する。ただそれだけのものだ。アクティブなアプリケーションのショートカットキーを表示するような高等なものではない。ここに記載されている内容を完全に記憶してしまえば、もう用がない機能だ。
ショートカットキー WinKey + Shift + / で起動する。
馴染みのないショートカットキーだなと思ったら、体に染み付くまで反復練習するといい。
アクティブウィンドウがあるか否かで、ショートカットキー一覧画面の左側が少し異なる。スナップ操作のキー表示が無効のように示される。
Text Extractor¶
Text Extractor は画面上の選択範囲からテキストを抽出する機能だ。起動後、画面が薄暗くなる。このとき、マウスドラッグで矩形選択すると、中に含まれている文字列をクリップボードにコピーする。
起動には WinKey + Shift + T を押す。
携帯電話でオンライン麻雀ゲームのスコア画面を撮影することがよくあるのだが、その数字を転写するのがたいへん面倒だ。画像を PC にインポートして画面に表示させてこの機能でテキストを抽出したい。
Video Conference Mute¶
Video Conference Mute は電話会議中に、どのアプリケーションを使っている途中でも、クリック一つでマイクをミュートしたり、カメラをオフにすることができる機能のようだ。
Todo
現在、マイクもカメラも保有していないので、当ツールを評価することがかなわない。
本機能は PowerToys 本体を管理者権限で起動しておかないと、設定が全くできない。そうなっていない場合には全般画面で設定を確認することだ。その上で本機能の設定画面にあるビデオ会議のミュートを有効にするスイッチを ON にする。これで本機能が有効になり、次のショートカットキー群が効くようになる。
ショートカットキー¶
本機能に備わるコマンドのショートカットキーを設定する。既定のキーバインドを次に記しておく。
- WinKey + Shift + Q
押すたびに、マイクとカメラの双方の状態が切り替わる。
- WinKey + Shift + A
押すたびに、マイクのミュート状態が切り替わる。
- WinKey + Shift + O
押すたびに、カメラの状態が切り変わる。
マイク¶
どのマイクを本機能の対象とするのかを指定する。普通は全指定でいいと思う。
カメラ¶
どのカメラを本ツールの対象にするのかを指定したり、カメラの電源を切ったときに、ダミーとして使用する画像を指定する。オーバーレイイメージはファイルシステムの画像ファイルパスで指示する。
ツールバー¶
上述のショートカットキーを使用するとあるミニツールバーが表示される。そこではマイクとカメラがオン、オフ、未使用のどの状態なのかを確認できる。ツールバーの位置では、このツールバーを画面のどの辺に表示するかを設定する。
また、モニターが複数取り付けられているときには当ツールバーを表示するモニターをツールバーを表示するで指定するといい。
全般設定¶
バージョンとある場所からは、次のことができる:
起動中の PowerToys のバージョン番号、
更新プログラムの有無確認、
リリースノートの確認、および
更新プログラムを自動ダウンロードするかどうかの切り替えをする。
管理者モードとある場所からは、次のことができる:
管理者モードの確認および設定。
管理者モードに関する詳細情報の確認。
一般モードから管理者モードに切り替えるときには PowerToys が再起動する。その逆は不能になっており、管理者モードで PoewrToys を開くと、この設定項目が変更不能になる。
外観および動作とある場所からは、次のことができる:
テーマをライト、ダーク、Windows 既定のいずれかに指定する。
起動時に実行スイッチで、OS 起動時に PowerToys を起動するかどうかを決める。
バックアップ¶
次のフォルダー以下に JSON ファイル群が大量に保存されている。これらが PowerToys およびサブソフト群の設定内容を保持しているのだろう。したがって、このフォルダーを丸ごとバックアップしておこう。
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\PowerToys
精選機能集¶
私が重用したい機能を順不同に記す。使用の度合いはおそらくばらつきがあるだろう。
File Explorer add-ons は採用決定。テキストエディターを開かなくても JSON ファイルが確認できたりするのは大きい。
Image Resizer は使ってみると手軽なので採用する。プリセットは不要。小だけ使う。タイムスタンプを保持する設定を推奨。
Keyboard Manager は条件付きで採用。レジストリーを別の手段で変更していないときに使う。
PowerRename はいちおう採用。
PowerToys Run はたいへん便利なので採用。Windows のファイル名を指定して実行を上書きしたいくらいだ。
Shortcut Guide はこれらのショートカットキーを習得するまで有効にする。
Text Extractor は採用。日本語文字列に空白文字がしばしばサンドイッチされるが。
こんなものだろう。不採用の機能は設定画面のスイッチで無効にしておく。
関連ノート¶
Windows 用フリーウェア 利用ノート: PowerToys の機能には、他のフリーウェアのほうが高性能であることがある部分がある。
Windows Package Manager CLI 利用ノート: PowerToys 自身を初インストールするときの参考になるかもしれないノート。