Calc Guide Chapter 12, Sharing and Reviewing Spreadsheets ノート

Introduction

スプレッドシートの共有と査読による共同作業の方法について述べられる。その方法とは次だ:

  • 同時編集

  • 変更の記録

  • コメントの追加

  • 変更の査読

  • 文書の融合と比較

  • 保存

  • 版の使用

共有または変更の追跡が活動中である場合、コマンドの一部は使用不能だ。

Sharing spreadsheets

スプレッドシートを共有するとは、複数の著者が同一ファイルを開いて同時に編集することを含む。

  • 共有中、スプレッドシートは共有ドライブ、サーバー、Web サイトなどにある必要がある。

  • 利用者権限管理のある OS では、次の条件を満たす必要がある:

    • 共有ファイルは共同著者すべてがアクセス可能な場所に存在する。

    • 共同著者すべてがファイルを作成、削除、変更可能であるように、当該文書ファイルおよびそのロックファイルの双方に対して適当なファイル権限を設定されている。

Tip

共同編集をまともにするためには、Options ダイアログボックス LibreOffice‣User Data ページ の各項目を埋めておけ。

Setting up a spreadsheet for sharing

スプレッドシートを開いた状態で、メニューから Tools‣Share Spreadsheet… を実行して、Share this spreadsheet with other users で共有状態の有効性を設定しろ。

  • 共有を有効にする際、保存済みである文書である必要があるらしく、そうでないファイルについては Save ダイアログボックスが開く。保存しろ。

  • 現在の文書が共有中であるかどうかは、ウィンドウのタイトルバーを確認しろ。

このコマンドで共有を取り消すことも可能だが、他の共同著者が編集できなくなる。取り消すのではなく、スプレッドシートをコピーして保存し、そちらの共有を取り消すのがよいと考えられる。

Opening a shared spreadsheet

共有スプレッドシートを開くと、このモードでは一部の機能が使用できないというメッセージが現れる。

共有スプレッドシートでは、次の機能が不能になる:

  • Edit‣

    • Merge Document 以外の Track Changes‣

  • Insert‣

    • Media‣Audio or Video…

    • Comment…

    • OLE Object‣

    • Chart…

    • Named Range or Expression…

    • Pivot Table…

    • Floating Frame

    • Fontwork…

    • Signature Line…

  • Format‣

    • Merge and Unmerge Cells‣

    • Print Ranges‣

  • Sheet‣

    • Move or Copy Sheet…

    • Delete Sheet…

    • Insert Sheet from File…

    • Named Ranges and Expressions‣

    • Rename Sheet…

    • Sheet Tab Color…

  • Data‣

    • Define Range…

    • Sort…

    • ‣Sort Ascending

    • ‣Sort Descending

    • ‣Subtotals…

    • Validity…

    • Multiple Operations…

    • Consolidate…

    • Group and Outline‣

    • Pivot Table‣

  • Tools‣

    • Protect Sheet…

    • Protect Spreadsheet Structure…

Saving a shared spreadsheet

共有スプレッドシートを保存する際、そのファイルを開いてから他の共同著者によって変更、保存されていなければ、通常通り保存される。

スプレッドシートを開いてから他の共同著者が変更、保存した場合、以下のいずれかが発生する:

  • 互いの編集内容が衝突しない場合、文書は保存される。メッセージ «Your spreadsheet has been updated with changes saved by other users» が示され、他の共同著者が変更した升目が赤枠で描かれる。

  • 編集内容が衝突した場合、Resolve Conflicts ダイアログボックスが開く。バージョン管理ツールの要領でどちらの版を採るかを決めろ。

    • 衝突がすべて解決されれば文書が保存される。

    • 衝突解消中は他の共同著者は共有文書を保存することが不可能だ。

      • 他の共同著者からは、融合中のためにファイルがロックされているというメッセージを見ることになる。保存を取り消して後ほど改めて保存を試みることになる。

共有スプレッドシートの保存に成功すると、共同著者すべてが保存した変更すべての最新版が表示される。

Reviewing documents

各査読者は別々の文書コピーで作業する。

  • 変更マークを使って、加除修正資料を表示することが可能。後で誰かが文書を査読し、各変更を受理するか拒否する。

  • 文書のコピーに変更を加えた後、Calc を使用してファイルを比較し、変更点を表示することが可能。

  • 元ファイルの一部として格納されている版を保存することが可能。

査読者は文書にコメントを残すことが可能。特定の変更点に添付することも、コメント単品で残すことも可能。

Preparing a document for review (optional)

スプレッドシートを編集者や査読者に送る前に、彼らが改訂マークをオンにする必要がないように設定しておくとよい。

改訂マークを有効にした後、スプレッドシートをパスワードで保護し、正しいパスワードを入力しなければ変更を許可または拒否できないようにすることも可能だ。

  1. スプレッドシートを開き、Menu バー Edit‣Track Changes‣Record を選択する。あるいは File‣Properties… を選択し Security タブ で Record changes をオンにする。

  2. スプレッドシートを保護したい場合は、Menu バー Edit‣Track Changes‣Protect… を選択する。Protect Records ダイアログボックスで、パスワードを入力し、OK ボタン を押す。あるいは上と同じタブで Protect… ボタンを押して、同様の Enter Password ダイアログを開くこともできる。

Recording changes

変更記録が有効ならば Edit‣Track Changes‣Record 項目に印がつく。

Caution

変更を行った後、変更記録をオフにしてはいけない。オフにすると、記録された変更すべてが受け入れられ、変更として表示されなくなる。これを実行しようとすると、メッセージボックスで警告が表示される。

  • セルが変更されると左上隅に点のある色つき枠線がセルを囲むように表示される。

  • 削除された列や行は太い色の棒で示される。

変更情報を見るにはマウスポインターを対象セルの上に持って行く。

Tip

変更されたセルを示す色を変更するには、Options ダイアログボックス LibreOffice Calc‣Changes ページ を開く。

変更の理由を説明することもできる。この場合、変更箇所にコメントを追加するか、スプレッドシートに一般的なコメントを追加する。

Adding comments to changes

記録された変更に、何が変更されたかを説明するコメントは自動的に追加される。査読者や著者は、変更の理由を述べたり、有用な洞察を提示するために、コメントを独自に追加可能だ。

  1. セルに変更を加える

  2. 変更のあるセルを選択する

  3. Edit‣Track Changes‣Comment… を実行

Note

この目的のために Menu バー Insert‣Comment やコンテキストメニューの Insert Comment を使ってはいけない。それらの方法で加えたコメントは別の方法で扱われ、Manage Changes ダイアログボックス には現れない。 Adding other (general) comments を見ろ。

コメントは変更を受理したり却下したりするときにも Manage Changes ダイアログボックス に表示される。

Editing comments on changes

  1. 変更コメントのある升目を選択

  2. Edit‣Track Changes‣Comment… を実行

  3. コメントを編集して OK ボタン を押す

Calc が自動的に追加したコメントは編集不能。

ダイアログボックスの下にある矢印を使ってコメントを移動することが可能。

Adding other (general) comments

著者と査読者が意見交換や提案を求めるために用いる、もう一つの型のコメントについて。

一般的なコメントを追加する手順:

  1. コメントを適用する升目を選択する。

  2. Menu バー から Insert‣Comment を選択するか、右クリックしてコンテキストメニューから Insert Comment を選択するか、Ctrl + Alt + C を押す。

  3. 箱にコメントを入力し、箱外側をクリックして閉じる。

コメントを追加した升目には、右上隅に色の付いた三角形が表示される。その升目に変更コメントがない限り、色のついた枠線はない。

Tip

Options ダイアログボックス LibreOffice‣Application Colors ページ で Spreadsheet 区画の Notes backgroundComments の色を調整することで、Calc がコメントに使用する色を変更できる。

追加したコメントを表示するには、コメントのある升目にマウスポインターを置く。コメント箱がポップアップする。

Note

変更コメントと一般コメントの両方を持つセルにマウスポインターを合わせると、表示されたヒントに両方のコメントが示される。

Editing general comments

他のテキストと同じように、一般的なコメントのテキストを編集し、書式整形することができる。

  1. コメントマーカーを含む升目を右クリックし、コンテキストメニューから Edit Comment を選択するか、升目を左クリックして Ctrl + Alt + C を押す。

  2. 升目コメントが示される。ポインターは通常のテキスト入力ポインターに変わり、 Formatting ツールバー はテキスト属性を表示するように変わる。

  3. 編集が終わったら、コメントの外側をクリックして選択を解除する。

Formatting general comments

コメントの背景色、枠、透明性、その他特性を変更可能。コメント自身をクリックすると Formatting ツールバー が有効になるので、Chapter 6, Using Images and Graphics で述べたように設定可能となる。

  1. コメント印を含む升目から右クリックメニューで Show Comment を実行する。

  2. コメントをクリックして上述したツールバーを用いるか、コメント右クリックメニューを用いてコメント欄書式を設定する。

  3. 設定が終わったらコメント欄の外側をクリックする。

  4. コメント印を含む升目から右クリックメニューで Hide Comment を実行する。

Finding general comments

View‣Comments を実行してシート内の通常コメントを一括表示する方法がある。

Navigator を使って、目的のコメントを含むセルにジャンプするのもいい。

Note

これらの操作では一般的なコメントは表示されるが、追跡された変更に関連するコメントは表示されない。

Accepting or rejecting changes

変更が加えられた文書を受け取ったら、各変更を順を追って確認し、どのように処理を進めるかを決定する。

  1. 文書を開く。

  2. Edit‣Track Changes‣Manage… を実行してダイアログボックスを開く。

  3. 変更を一つずつ確認し、その都度、変更を受理するか却下するかを選択する。または、すべての変更を一度に受理または却下する。

Comment 列には既定で変更点の説明を含む。査読者が変更にコメントを追加した場合は、そのコメントが表示され、変更の説明が続く。

ある変更が後の変更(同一人物または別の人物によるもの)に取って代わられた場合、変更は階層的に配置され、階層を開くための展開記号が表示される。

受理または拒否される変更の一覧の下には、以前に処理された変更が表示される。

Manage Changes ダイアログボックス の Filter タブでは、日付、作成者、升目範囲、特定の用語を含むコメントのどれかで、変更一覧を絞り込む方法を選択できる。絞り込み基準を選択した後、結果を見るために List タブに戻る。変更を絞り込むと、ダイアログボックスの List タブ内容だけに影響し、スプレッドシートでは絞り込み結果は見えない。

Merging documents

ここまで説明したプロセスは、単独の査読者が一度に行う場合には有効だ。しかし、査読者が複数いて、全員がスプレッドシートの編集コピーを返すこともある。こうなるとすべての変更版を一度に確認したいことがある。こういうときに融合を行う。

文書を融合するには、受け取った版のすべてが変更記録されていることが必要だ。

  1. 元文書を開く。

  2. Menu バー から Edit‣Track Changes‣Merge Document を実行。

  3. 開く ダイアログボックス が開く。融合したいものを選ぶ。

  4. 融合後に Manage Changes ダイアログボックス が開く。

  5. 査読版の数だけファイル選択から融合までの操作を反復する。

こうすると、すべての変更が一つの文書にまとめられ、変更を受理するか却下することが可能になる。異なる著者による変更は、異なる色でアウトライン化された升目に表示される。

Comparing documents

査読者が変更点を記録していないことがある。この場合は文書を比較することで変更点を見つけることができる。

元文書と更新版が手許にあるときの、両者を比較する手順:

  1. 元文書と比較したい更新版を開く

  2. Edit‣Track Changes‣Compare Documet… を実行

  3. ファイルダイアログボックスから元文書を開く。

  4. 確認された変更を表示する Manage Changes ダイアログボックス が開く。

Calc は次のように差分箇所を識別する:

  • 更新版に存在し、元文書に存在しないデータはすべて A

  • 元文書に存在し、更新版に存在しないデータはすべて D

  • 変更されたデータはすべて M

これ以降に変更の受理および却下を行うことが可能。

Saving versions

監査やその他の目的のためにスプレッドシートの新版を保存する必要がある場合がある。これを行うには、改訂のたびにスプレッドシートのコピーを別の名前で保存するか、Calc の版機能を利用する。

Caution

File‣Save As… による保存の場合、(それまで格納されていた)旧版はファイルに格納されなくなる。

版管理には File‣Versions… を実行する。ファイル名をタイトルバーに持つダイアログボックスが開く。このファイルに格納されている既存の版一覧が示される。新しい版を保存するには、

  1. Save New Version を押す。

  2. Insert Version Comment ダイアログボックスが開くので、この版に関するコメントを入力する。

  3. OK ボタン を押す。新版が Existing Versions 一覧に加わる。

  4. ファイルを保存する。これで双方の版が同じファイルに含まれる。

完了後、以下の動作が可能になる:

  • 旧版を閲覧する。 版を選択し、開く (O) ボタン を押す。旧版の読み取り専用コピーが開く。

  • すべての版を比較する。Compare… を押すと文書の融合に似た動作が実行される。Manage Changes ダイアログボックス が開き、異版の変更すべてが表示される。

  • 版コメントを見直す。版を選択し、Show… を押すと、著者自身または他の査読者によるコメント全文が表示される。

  • 版を削除する。版を選択し、Delete を押す。このオプションには気をつけろ。削除する際に確認要請はない。