幾何学と不変量 読書ノート

以下のノートでは、日本語変換や数式処理の都合上、本書の表記や記号を一部改変してノートにする。

著者:西山 享
出版社:日本評論社
発行年:2012 年
ISBN:978-4-535-78463-5
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第 1 章 群とは何か──群の速成コース

  • 合同変換と合同変換群の関係、対称群は合同変換群の部分群である、二面体群と正多面体群は対称群である、等々。二面体群の要素と、正多面体群の位数は何も見ないで求められるようにしておきたいところ。
  • 正則行列のなす群の分類色々。スケッチを描いたが、ここ (rst) に載せられない。特殊線形群と複素平面での一次分数変換との対応とは。

第 2 章 正多面体群と方程式

方程式、群の準同型定理。

  • 3 次の二面体群を利用して 3 次方程式の解の公式を導く。冒頭の r, s, t が思いつけるかどうか……。
  • 正四面体群と 3 次対称群が同型だと言っている。
  • 4 次方程式の解の公式。 4 次対称群から 3 次対称群への準同型写像の Ker の求め方?とにかく、この部分群の要素を見ながら s, t, u, v を根の組み合わせで決める。
  • 章の最後は準同型定理。商群の定義から。この定理を利用すれば先ほどの核が容易に求められるようだ。

第 3 章 群の表現と不変式

  • ベクトル空間 V に対する Aut(V) を GL(V) と書く。ベクトル空間自身の自己同型写像は正則行列の乗算として書けるということか。
  • 群 G から GL(V) への準同型を「G の V 上の表現」という。
    • 群の元の像を「表現の作用素」という。これは正則行列だ。
    • ベクトル空間 V を「表現空間」という。
  • 二面体群、正多面体群、巡回群の表現の例。
  • 空間 X 上の関数全体のなすベクトル空間が「使える」。この本のあとのほうで「どこかの関数全体」が頻出する。
  • 不変式の定義。不変式全体のなす空間は環の構造を持ち、これを「不変式環」と呼ぶ。
  • 対象式には「基本対象式」「冪和対象式」「完全対称式」がある。母関数表示やニュートンの公式等。
  • 判別式の定義、差積、重根条件、Vandermonde の行列式。

第 4 章 平面の合同変換と不変式

  • 等長変換、平行移動、回転、鏡映。こういう変換全体は写像の合成を演算として群をなす。これを合同変換群とか運動群とか呼ぶ。

  • 合同変換群の不変式

    • 不変式環の説明がよくわからない。距離の平方と内積とで生成される?
    • 直交群は合同変換群の部分群であり、原点を固定する。
  • 2 次曲線

    • 2 次曲線を合同変換で移すとどう変わるか。

    • ここで用いられている技法は、CG プログラミングのそれと同じではないか。なるほど。

    • 2 次曲線の判別式 \(\Delta\) を定義し、射影的不変量 \(P_1, P_2\) を定義する。

      \begin{eqnarray*} P_1 = \cfrac{traceX}{\sqrt[3]{\Delta^2}}, P_2 = \cfrac{detX}{\sqrt[3]{\Delta^2}} \end{eqnarray*}
      • この二つの不変量が一致する曲線同士が合同となる。
      • これらの符号で曲線の分類ができる。
      • 判別式がゼロのものは「曲線でなくなる」ので、ひとまず考察の対象から外しておく。
    • 2 次曲線の囲む面積や、ニ焦点間の距離、曲線長などは不変量を使って表現できる。

第 5 章 平面上のアフィン変換とアフィン幾何

前章の直交行列を一般の正則行列にしたものがアフィン変換。

  • 平行な直線は平行な直線へ移る。
  • 相対不変式の説明は難しい。
    • 同一直線上の線分比はアフィン変換によって変わらない。これは大事だ。
  • アフィン合同
    • 任意の三角形はアフィン合同である。
    • 三角形の各頂点をまったく移動させないような変換は恒等写像しかない。
    • 四角形がアフィン合同⇔対角線の交点による二組の対角線の内分 or 外分比がそれぞれ一致する。
  • 二次曲線のアフィン合同類
    • 楕円と単位円が合同。双曲線は \(x^2 - y^2 = 1\) と合同。放物線は \(y = x^2\) と合同。
  • アフィン幾何の定理について。冒頭のチェックリストが便利。
    • アフィン幾何の定理を証明するために、対象となる図形を単純なアフィン合同図形に置き換えて、使い慣れた初等幾何なり解析なりの技法を採用することができると言っている。

第 6 章 実射影平面

無限遠点および無限遠直線の導入。

  • H, H’ をそれぞれ xy 平面と yz 平面を 1 ずらしたものとおく。写像 \(\pi_p(x, y) = (y/x, 1 - 1/x)\) を考える。
    • 視点を原点に置くと H 上の直線は H’ 上の直線に写されるが、 H 上の直線の「極限」は H’ 上の直線 \(\eta = 1\) 上のどこかの点となる(直線の方向が y 軸に平行でない限り)。
    • H 上で平行な二直線の「極限」は H’ 上の同一点に写される。
  • 射影平面 \(\mathbb{P}^2 (\mathbb{R})\) とは、空間から原点を除いた集合上の点を、定数倍の同値関係で同一して得られる(無限遠点を含む)点全体のなす平面。
    • 代表元を同次座標と呼んで、射影平面の元を \([x : y : z]\) と記す。
    • 対応する平面上の点 \((\xi, \eta)\) を非同次座標と呼ぶ。
  • \(\mathbb{P}^1 (\mathbb{R})\)\(S^1\) の半分と同型。無限遠点一つのみ。
  • \(\mathbb{P}^2 (\mathbb{R})\)\(S^2\) の半分と同型。縁の円周が無限遠点。
  • 平面射影幾何では、実は点と直線に関する全ての定理が、直線と点を入れ替えても成り立つ。
  • 2 次曲線は射影平面上では円周と同じ形状になっている。
  • 射影平面同士の点の写像は、単に座標成分の入れ替えとなる。元々は割り算なので、同次座標成分がゼロでないという縛りがあったが、これを気にしなくて済むようになった。
  • 一般の平面から \({H_3}\) への射影 \(\pi_H\) について。
    • 正則行列 A を用いて写像 \(\pi_A: [v] \mapsto [Av]\) を定義し、これを射影変換と呼ぶ。
    • この写像全体のなす群を \(PGL_3(\mathbb{R})\) と表す。
      • A がスカラー行列のときには \(\pi_A = \mathrm{id}\) となって、 \(\pi_A^*: GL_3(\mathbb{R}) \to PGL_3(\mathbb{R})\) は同型とはならない。
  • 射影平面上の任意の 2 本の直線を互いに写し合う変換が存在する。
  • 二次曲線は同次式で定義式を与えておくと具合が良い。対称行列を用いて \(f(v) = {}^t\!vQv\) とする。
  • 実射影平面上の非退化二次曲線は単位円に写せる。ある行列 A があって、\({}^t\!AQA\) が対角行列で、かつ対角成分の絶対値が 1 となるようにできると言っている。

第 7 章 軌道空間と商位相

この章は命題 7.7 と定理 7.8 が重要な基本だ。

  • 群の軌道の定義を確認。

  • 軌道空間の定義を確認。

  • 軌道分解の定義を確認。

    • 例として、等長変換群の実空間に対する作用を挙げている。この考察によると、\(O_3(\mathbb{R})\)\(SO_3(\mathbb{R})\)\(h SO_3(\mathbb{R})\) の非交和に分解できる。ここで h は鏡映を表す行列。

      軌道を考えると、これは球になる。従って実空間は原点と半径 r > 0 の球との非交和に分解できる。

    • 加法群 \(\mathbb{Z}\) の実数への作用について、軌道と軌道空間を例示している。さらに加法群 \(\mathbb{Z^2}\) の実平面への作用について、軌道と軌道空間を例示している。いずれも単位区間または単位矩形の境界が少々欠ける。

    • 複素正方行列の集合に対する異なる軌道分解を二つ挙げている。

  • 軌道空間と不変式

    • 不変式の定義を更新しておく。
    • 正則表現の定義が頭に入ってこない。
    • 関数が任意の軌道上で定数関数であることと、関数が不変であることが同値となる。
    • 左(右)剰余類の定義を確認。剰余類の空間は元の群の軌道分解となる。
      • 左剰余類では \(G = \bigsqcup Ha\)
      • 左不変と右不変を区別する必要がある。
  • 商空間

    • 軌道空間 \(\Omega_G(X)\) のことを X の G による商空間と呼ぶ(軌道を点とみなす)。
    • 位相空間論の復習。
      • 部分位相空間、誘導位相を思い出す。
      • 一般の位相空間においては点列の収束極限はただ一つとは限らない。
      • 軌道空間上に位相を導入するための準備のようなもの。
    • 位相群(連続群):G も X も位相空間であり、かつ G の演算が G の位相に関して連続であると仮定する。
      • 空間 X から軌道空間への射影 \(\pi\) をまず定義する。
      • 次に開集合を定義する。それには「\(\pi^{-1}(U)\) が X の開集合であれば、集合 U は開集合である」と約束すれば開集合系は定義できる。
      • この位相を商位相という。これは射影を連続にするような位相の中では最弱となる。
      • この射影 \(\pi\) を商写像という。商写像は連続。
      • この位相を入れた軌道空間を商空間といい、\(X \backslash G\) で表す。
    • 引き戻し
      • 位相空間 X から Y への連続写像を \(pi\) とする。そして X, Y 上の連続関数全体をそれぞれ C(X), C(Y) とする。このとき C(X) から C(Y) への写像 \(pi^{*}\)\(F \mapsto F \circ \pi\) で定める。
        • この写像を引き戻しという。
        • 引き戻された関数は連続となる。
      • 位相空間から商空間への射影による引き戻しは線形同型写像となる。