幾何学と不変量 読書ノート 10/10¶
第 10 章 射影空間とグラスマン多様体¶
10.1 n 次元射影空間¶
序盤を忘れているのならば 8 章を読み直せ。
- \((1, n)\) 型放物型部分群 \(P_{(1, n)}\)
次のような \(\mathit{GL}_{n + 1}(\CC)\) の部分群のことをそう呼ぶ:
\[\begin{split}\begin{align*} \Set{ \left( \begin{array}{c|c} \lambda & \begin{array}{ccc} u_2 & \cdots & u_n \end{array} \\ \hline \begin{array}{c} 0 \\ \vdots \\ 0 \end{array} & {\Huge{A}} \end{array} \right) \Sth \lambda \in \CC^\times,\ A \in \mathit{GL}_{n + 1}(\CC) }. \end{align*}\end{split}\]
定理 10.2: 等質空間 \({\mathbb{P}^{n}(\CC) \cong \mathit{GL}_{n + 1}(\CC) / P_{(1, n)}}\)
定理 10.3: 等質空間 \({\mathbb{P}^{n}(\CC) \cong \mathit{U}_{n + 1}/(\mathit{U}_1(\CC) \times \mathit{U}_n(\CC))}\)
定理 10.4: \(\mathbb{P}^{n}(\CC)\) はコンパクト。
10.2 2 次曲面と点の配置空間¶
- 2 次曲面
\({{}^t\!\bm x S \bm x = 0}\), \({S \in \mathit{Sym}_{n + 1}(\CC)}\), \({{}^t\!\bm x = (x_0, \cdots, x_n)}\) は同次座標で \({\det S \ne 0}.\)
- 最大階数の行列
本文の説明ではピンと来ない。おそらく
rank(A) = max(A.nrow, A.ncol)
のような行列A
の意味と思われる。- \({\mathit{M}_{n + 1, m}^{\circ}(\CC)}\)
上で述べた最大階数行列全てからなる空間。
- \({\mathit{Sym}_{n + 1}^{\circ}(\CC)}\)
\({\coloneqq \set{S \in \mathit{Sym}_{n + 1}(\CC) \sth \det S \ne 0}}.\)
\({m \le n}\) とする。
作用 \({\rho(g)(S, A) = ({}^t\! g\inv S g\inv, gA)}.\)
\({\mathit{Sym}_{n + 1}^{\circ}(\CC) \times \mathit{M}_{n + 1, m}^{\circ}(\CC) / (\mathit{GL}_{n + 1}(\CC) \times T^m)}\) が非退化 2 次曲面と:math:mathbb{P}^{n}(CC) の \(m\) 点配置を表す。
\(T^m \coloneqq (\CC^\times)^m\) を \(n\) 次元トーラス群と呼ぶ。
定理 10.7 不変式環の生成元に関する定理。どうなっているか。
定理 10.8 \({m = 2}\) のときの \({\mathit{GL}_{n + 1}(\CC) \times T^m}`の :math:`{\mathit{Sym}_{n + 1}^{\circ}(\CC) \times \mathit{M}_{n + 1, m}^{\circ}(\CC)}\) への作用に関する不変式環の生成元についての定理。
10.3 グラスマン多様体¶
- 部分空間
ベクトル空間 \(V = \CC^n\) から線形独立なベクトルを \(d\) 個取ってきてそれらの張る部分空間を \({W = \langle v_1, \cdots, v_d \rangle}\) とする。このとき \({\mathbb{P}(W) \coloneqq \set{[w] \sth w \in W} \subset \mathbb{P}(V)}\) は \({n - 1}\) 次元部分空間であるという。
ベクトル 2 個だけからなるものならば \(\mathbb{P}(W)\) は射影直線。
定理 10.9: \({\mathscr{W} = \set{\mathbb{P}(W_{v_1}, \cdots, W_{v_d}) \sth v_i \in V}}.\) つまり射影部分空間の全体に対し、\({\mathit{GL}(V) = \mathit{GL}_n(\CC)}\) が射影変換として推移的に作用する。
- グラスマン多様体
ベクトル空間の部分空間全体のことをそう呼ぶ。
記号は \(Gr_d(V)\), \(Gr_d^n(\CC)\) を用いる。ここで \(d\) と \(n\) は部分空間の次元と元のベクトル空間の次元をそれぞれ表す。
\({Gr_1(V) = \mathbb{P}(V)}\) は \({n - 1}\) 次元射影空間だ。
- 放物型部分群
\(\mathit{GL}_n(\CC)\) の部分群で、次の形のものを言う:
\[\begin{split}\begin{align*} P_{(d, n - d)} \coloneqq \Set{ \begin{pmatrix} A & B\\ 0 & D \end{pmatrix} \Sth A \in \mathit{GL}_d(\CC),\ D \in \mathit{GL}_{n - d}(\CC),\ B \in \mathit{M}_{d, n - d}(\CC) }. \end{align*}\end{split}\]等質空間の全単射 \({\mathit{GL}(V)/P_{(d, n - d)} \longto Gr_d(V)}\) が存在する。
この全単射を利用して \(Gr_d(V)\) に位相を入れる(複素多様体)。
定理 10.11
\({V = \CC^n}\) として \(U_n(\CC)\) は \(Gr_d(V)\) に推移的に作用する。
\({W_{std} \coloneqq \langle \bm e_1, \cdots, \bm e_d \rangle}\) における固定部分群は \({U_d(\CC^n) \times U_{n - d}(\CC^n)}\) に同型だ。
よって \({Gr_d(V) \cong U_n(\CC^n)/(U_d(\CC^n) \times U_{n - d}(\CC^n))}.\)
\(Gr_d(V)\) はコンパクトかつエルミート対称空間だ。
10.4 プリュッカー座標¶
目標はグラスマン多様体を高次の射影空間に埋め込むことだ。
- プリュッカー座標
プリュッカー座標とは、次の写像 \({\fn{\mathscr{P}}{\mathit{M}_{4, 2}^{\circ}(\CC)}\mathbb{P}^5(\CC)}\) の値を言う。
\[A \longmapsto [D_{12}(A) : D_{13}(A) : D_{14}(A) : D_{32}(A) : D_{42}(A) : D_{34}(A)].\]
定理 10.3: 写像 \(\mathscr{P}\) は \(Gr_2(\CC^4)\) から \(\mathbb{P}^5(\CC)\) 内の二次曲面への同型写像である。
これをプリュッカー埋め込みという。
10.5 点配置と多重旗多様体¶
- 旗多様体
群の放物型部分群による商空間。
- 多重旗多様体
旗多様体いくつかによる直積。
この節の主題は次の対象の記述だ。
\({(\mathit{GL}_n(\CC)/P_{1, n - 1})^k / \mathit{GL}_n(\CC)}\)
\({(Gr_{d_1}^n(V) \times \cdots \times Gr_{d_k}^n(V))/G \cong (G/P_{(d_1, n - d_1)} \times \cdots \times G/P_{(d_k, n - d_k)})/G}\)
附録:集合と写像¶
本書を手に取るような人ならば、読むに及ばない内容なのかもしれない。