Pygments 利用ノート¶
Note
本稿執筆時の動作環境は次のとおり。
関連リンク¶
- Pygments
公式サイト。
Pygments とは何だ¶
「プログラムコード片を表すテキストを入力とし、部分部分に着色等の装飾を指示する命令コードを付加したテキストを出力する Python 製パッケージ」とでも言えばいいのだろうか。
インストール¶
正しいインストール方法はいつものように複数ある。一般のサードパーティー製 Python パッケージのインストール手順 に図示しておいた。普通は Sphinx のインストールを済ませていると思われるので、その依存パッケージである Pygments もすでに利用可能になっているはずだ。
アップグレードの方法もインストールとほぼ同様なので省略する。
開発版コードをダウンロード¶
Mercurial とやらが必要なのでパス。
ドキュメントも確保する¶
学習の都合上、公式サイト からオフライン用のドキュメント一式をダウンロードしておくとよいだろう。
いきなり使ってみる¶
ドキュメントの Introduction and Quick Start を読みながらメモ。
簡単に言うと Pygments の設計様式は 4 本柱。よく読むと大事なのはこのうちの 2 本だけか。
lexers
: ソースコードを解析して、これはキーワード、これはリテラル文字列、等々というふうに分類する。この処理をトークンに分解すると言う。
プログラミング言語毎に専用の lexer が存在する。
filters
: lexer からの出力(トークンストリーム)をテキスト的な加工をするときに利用する。formatters
: 処理結果を何らかの書式で出力する。 HTML, XML, LaTeX, RTF, etc…styles
: キーワードやコメントをどうハイライトするのかを決める役割がある。
Python コードから Pygments の機能を利用する¶
ドキュメントに紹介されている例を検討してみる。ここでは PythonLexer に代えて Python3Lexer を適用してみる。
from pygments import highlight
from pygments.lexers import Python3Lexer
from pygments.formatters import HtmlFormatter
code = 'print("Hello World")'
print(highlight(code, Python3Lexer(), HtmlFormatter()))
これは「Python のソースコードを HTML コード片に変換する」例のごく単純なもので、最後に highlight
関数で締めくくっている。
出力結果を示す。
<div class="highlight"><pre><span></span><span class="nb">print</span><span class="p">(</span><span class="s2">"Hello World"</span><span class="p">)</span>
</pre></div>
何が highlight なのかと言うと、HTML コードに装飾用のマークアップが付いていることが認められる。
コード片全体が
highlight
というクラスのDIV
タグに囲まれている。丸括弧が
p
というクラスのSPAN
タグに囲まれている。キーワード
print
がnb
というクラスのSPAN
タグに囲まれている。リテラル文字列
Hello World
がs2
というクラスのSPAN
タグに囲まれている。ついでに言うと、ダブルクォーテーションがエスケープ済み。
どうやら CSS を自分で好きに書けば、ハイライト(色付けやら何やら)を実現できるということか。
以上の単純な例から、目的に応じて処理したい言語に対応する lexer と出力結果に対応する formatter を見つけたり自作したりすればよさそうだということが読み取れる。
コマンドラインツールを利用する¶
Pygments をインストールすると、フォルダー Scripts
に pygmentize
という実行ファイルができる。ファイルを受け取って、
コンソールウィンドウに出力するときは文字通りハイライトしたテキストを出力する。
ファイルに出力するときは、前述の形式でテキストを出力する。
が、実際やってみると前者はコントロール文字をガンガン出力するだけで読めたものではない。もっぱら後者の用法で利用する。
# HTML 形式で出力し、ファイル名を test.html と指定。
bash$ pygmentize -f html -o test.html test.py
# スタイル colorful の定義、つまり CSS コードを画面に出力させる。
bash$ pygmentize -f html -S colorful
# -N オプションで入力ファイル名から lexer を推測する。
bash$ pygmentize -N test.txt
# -L オプションで利用可能なコンポーネントを画面にリスト。
bash$ pygmentize -L lexers
# -H オプションでより詳しい説明を画面に出力する。
bash$ pygmentize -H lexer python
コンポーネント¶
さっき言った 4 本柱を見ていく。
Lexers¶
個人的に利用する可能性が高い lexers を aliases 形式でここにメモっておく。名前をおぼえるには aliases 形式が応用が効く。 Sphinx の code-block
ディレクティブの引数がこの aliases と一致することに注意。
('bash', 'sh')
('cpp', 'c++')
('css',)
('django', 'jinja')
('html',)
('make', 'makefile', 'mf', 'bsdmake')
('python', 'py')
('python3', 'py3')
('tex', 'latex')
('text',)
('xml',)
('xslt',)
('rst', 'rest', 'restructuredtext')
最初に全ての lexers をザッと眺めておくと、自分が使うであろう lexer の当たりがつけやすい。
pygments.lexers.get_all_lexers
関数で、各 lexer を表現する(name, aliases, filetypes, mimetypes)
を指すイテレータが得られる。name
は文字列。特に使わない。aliases
は文字列の tuple で、これのいずれかを引数にして関数get_lexer_by_name
に渡すと、対応する lexer オブジェクトが得られる。filetypes
等も使わない。
もし「言語 XXX の lexer は存在するだろうか」と思ったら、XXX のファイル拡張子を知っているならば、関数
guess_lexer_by_filename
をダミー文字列と共に呼び出してみる。
Formatters¶
いつもお世話になるのは pygments.formatters.html.HtmlFormatter
クラスだが、意外にたくさんの formatters が用意されている。画像もアリなのか。
ImageFilter 系を利用するには、別途 PIL パッケージのインストールが必要だそうだ。
RtfFormatter は MS Word にコピー&ペーストができるデータを出力するようだ。
SvgFormatter は実験段階らしい。
Filters¶
これに関しては特にノートを取るようなことはない。大文字小文字を変換したり、空白文字を目に見える文字に置換したりするのに利用するものだ。
Styles¶
スタイルというのは出力が HTML または LaTeX のときに適用される。
基本的にここをいじりまわすことはなさそうだ。