694 日目(晴れのち曇りのち雨)ここは死に場所ではなかった
夜が長い。途中私を気遣って一人の男性が話しかけてきた。寒いのを心配してくれている。 しかし私はむしろ腹が減っている。
ラジオ体操の時間に起きる。丸一日食わないだけだが音を上げる。
7:00 駅前の交番の警官に助けを求めに行く。若い警官が最初に応対。 警察ではそういう援助はできないんですよ、そういう感じの回答だ。まあそうだろう。 そこへ年配の警官が現れて、たまたま近所にある区民事務所を尋ねるように助言してくれる。 開所が 8:30 なのでそれまで公園にて待つ。最近居眠りしすぎて何か体調がおかしい。
8:30 某区民事務所を訪れる。マスクを持っていない私はこういうときがつらい。 頭に巻いているタオルを口にあてがって、受付担当みたいな女性に質問する。 私の質問というか泣き言は「金がなくなって腹が減って困っている」だ。 ここでの回答は、区民事務所ではなく福祉事務所に行けという、だんだん正解に近づいていく感があるものだ。 その事務所は隣駅の近所にあるそうなので、地図をもらって徒歩で赴く。
9:00 台に某福祉事務所に到着。窓口がある。 「ホームレスで金がなくてひもじい」と言うと、相談室なる小部屋に通される。 蛍光灯一本の薄暗い部屋で、その灯りもチカチカしていて目につらい。
N さんという女性の職員に応対してもらう。 話の詳細をすべて省略すると、私には生活保護を受給しながらある種の施設でしのぐしかないというアドバイスをもらう。 ここで私は独特のカンが働いて難色を示す。保留。死ぬまで保留したい。 施設でたくさんの同類と共同生活というわけのわからぬ話に聞こえる。
保留ということで、非常食料をただでいただく。こんなにありがたい貰い物があるとは。
- 菓子パン (4)
- ブルーベリー
- カスタードクリーム
- チョコクリーム
- あんこ
- 乾パン (4)
- ビックリマンカード大で IC カードくらいの厚みのものが 5 枚入ってワンパック
食い物を確保したことで気が一気に大きくなる。ここは私の死に場所ではなかった。 ならば好きな場所へ移動しよう。
福祉事務所を出る。少し東に歩いて区内某公園で菓子パンと乾パンを一気にワンパケずつ平らげる。 これは多すぎる。一日でこの量で良さそうだ。再び歩く。
懐かしの北区を巡る:
- 桐ヶ丘公園
- イトーヨーカドー赤羽店:トイレを借りる
- 赤羽駅東側交差点
- 赤羽会館前、赤羽公園、ミキランドリー前
- 北運動公園
- 神谷公園(の消滅)
少し歩いて
- 中央公園北側:木陰ベンチで休憩。落ちていた日経新聞とスポーツ紙をチェック。
- 北区中央図書館前、サミット前交差点
- 北区役所前通過
少し歩いて滝野川公園で小休止。 さらに歩いて田端の高台のなんとか公園でトイレ休憩。西日暮里駅方面に向かう。
- ゲームスポットバーサス前通過:営業しているように思える。
- 三河島駅前通過
- 荒川公園通過
- 荒川区ゆいの森あらかわ前広場:ベンチで数十日前の日々の感傷に浸る。
このへんで雲模様が怪しくなる。ついでに風もある。日没も近いので眠りの態勢に入りたい。 荒川公園に戻り、フル装備で噴水前の馴染みのベンチの横のベンチで待機。
やがて雨が降ってくる。合羽を着ているので慌てずに区役所自転車置き場に避難する。 雨のときにたまたまここにいて良かった。ブルーシートを敷いてあぐらをかいて休む。
ウィルス対応なのか、謎の言語を話す職員らしき人物が数名出入りしているのを感じる。
雨がやむまで軒下にいつくことにする。