幾何学と不変量 読書ノート 2/10¶
第 2 章 正多面体群と方程式¶
方程式、群の準同型定理。
2.1 3 次方程式¶
3 次の二面体群を利用して 3 次方程式 \({x^3 + Ax^2 + Bx + C = 0}\) の解の公式を導く(係数の符号が本と異なるかも)。
用語:対称式、基本対称式。
定理 2.1: 対称式の基本定理
演習 2.2: これは高校数学の教科書を参照という感じだ。
カルダーノの公式 を得る手順の概略は次のようになる:
1 の原始 3 乗根 \(\omega\) をとる。
\({r = \alpha + \beta + \gamma,\ s = \alpha + \omega\beta + \omega^2\gamma,\ \alpha + \omega^2 \beta + \omega \gamma}\) とする。
この時点で \(r\) はわかる。
3 次の二面体群 \(D_3\) を考察することで \({p = s^3 + t^3}\) と \({q = s^3 t^3}\) が回転と鏡映のどちらの変換に対しても不変であることがわかる。実は \(p,\ q\) は任意の変換について不変である。
ゆえに \(s^3, t^3\) は \(\alpha, \beta, \gamma\) の基本対称式として書かれる。
\({A = 0}\) ならば \({r = 0}\) であるので \(s^3, t^3\) は方程式 \({x^2 + 27 Cx - 27B^3 = 0}\) の根である。
2.2 群の同型と準同型¶
群論の教科書を参照すればよさそうだ。
2.3 4 次方程式¶
今度は群 \({Aut(T_4) \cong \mathfrak{S}_4}\) を利用する。解の公式を得る手順の概略は次のようになる:
準同型 \({\fn{\varphi}{\mathfrak{S}_4}\mathfrak{S}_3}\) の核をどうにかして求める。
\(\ker \varphi\) の元に従って p. 41 のように \(s, t, u, v\) を根の結合とする。
\(t^2, u^2, v^2\) の基本対称式が根の対称式で書かれることがわかる。
\(tuv, {t^2 + u^2 + v^2}, {t^2 u^2 + u^2 v^2 + v^2 t ^2}\) も基本対称式として書かれる。
例によって \({A = 0}\) ならば \({s = 0}\) となって話が早い。 \(t^2, u^2, v^2\) は次の方程式の根となる:
\[x^3 + 8 Bx^2 + (16 B^2 - 64 D)x - 64 C^2 = 0.\]
演習 2.20: 正六面体群 \(C_6\) の自己同型群 \(Aut(C_6)\) から \(\mathfrak{S}_8, \mathfrak{S}_6, \mathfrak{S}_4\) それぞれへの準同型を考える。
2.4 準同型定理¶
この節では別に断らない限り \({\fn{\varphi}{G_1}G_2}\) を全射としている。
用語:逆像 or ファイバー。ある一点の写像前の元全て。
一つの元 \({\tau_1 \in \varphi\inv(\sigma)}\) と \(\ker \varphi\) が既にわかっていれば、ファイバーは容易に求まる。すなわち \({\varphi\inv(\sigma) = \tau_1 \ker \varphi}\) がそれだ。
そこで \({N = \ker \varphi}\) とおくと、\(\tau N\) の形の集合の間に演算が定義できる。
演習 2.22: \({[\tau] \coloneqq \tau N}\) と書く。これは群をなす。
定義 2.23: 商群 \({G/N \coloneqq \set{[\tau] \sth \tau \in G}}\)
定理 2.24: 準同型定理。
\begin{align*} \forall \sigma \in G_2 = \operatorname{im}\varphi, \ \exists \tau \in G_1:\ \tau \ker \varphi = \varphi\inv \ker \varphi \end{align*}ということ。
任意の準同型写像の任意のファイバーの任意のニ元について、一方ともう一方の逆元を乗じれば、それは準同型写像の核に属する。