『岩波講座基礎数学 解析入門』学習ノート Part 14
小平邦彦著『岩波講座基礎数学 解析入門 I』より。おさらい。
- 位相入門でやると思うので飛ばした $\varepsilon$-近傍、内点、境界点、境界、閉包、集積点、孤立点、開集合、閉集合の定義を確認。
- 境界点(と境界)については、対象となる集合の部分であることもないこともある。
- 関数の極限と数列のそれとの密接な関係に注目。関数の極限に関する命題を証明するのに、 それに対応する数列の極限の定理に帰着させることができる。
- (Th 2.2) 中間値の定理。$f\vert{}_{[a, b]}$ が連続関数であることが本質的だ。
- 一様連続→閉区間→コンパクト→有限開被覆→最大・最小
- (Th 2.4) 閉区間の連続関数は最大値を持つ。閉区間→一様連続→有界
- $\displaystyle \sup_{x \in [a, b]}{f(x)} = \beta$ と置く。$f(x) < \beta$ または $f(x) = \beta.$ ここで前者が $\forall x \in [a, b]$ で成り立つと仮定すると、$\beta$ の定義に矛盾することを示したい。
- (Th 2.5) 連続関数による閉区間の像が閉区間であることは、中間値の定理による。
- (E 1.2) $\alpha > 1, k \in \N \rightarrow \lim_{n \to \infty}\dfrac{\alpha^n}{n^k} = \infty.$
- 方法 1: $a_n = \dfrac{\alpha^n}{n^k}$ とおいて $\dfrac{a_{n+1}}{a_{n}}$ が 1 より大きい値に収束することを示し、 この数列が単調増加であることを示す。その極限が有限ではなく $> 1$ だから発散する。
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方法 2: 二項定理を応用する。$n > 2k$ とするのがコツ。
\[\begin{aligned} \alpha^n &= (1 + (1 - \alpha))^n\\ &= \sum_{i = 0}^n \binom{n}{i}(1 - \alpha)^{n - i}\\ &> \binom{n}{k + 1}(1 - \alpha)^{k + 1}.\\ \therefore \frac{\alpha^n}{n^k} &> \frac{\alpha^n}{n^k}\binom{n}{k + 1}(1 - \alpha)^{k + 1}\\ &= \left(1 - \frac{1}{n}\right)\dotsb\left(1 - \frac{k-1}{n}\right)\frac{(1 - \alpha)^{k+1}}{(k+1)!}(n - k)\\ &> \frac{(1 - \alpha)^{k+1}}{2^{k-1}(k+1)!}(n - k). \quad \because (n > 2k) \rightarrow \left(\frac{1}{n} < \frac{1}{2k} < \frac{1}{2}\right)\\ \end{aligned}\]
- (E 2.8) $\alpha > 1, k > 0$ のとき(以下同文)
- $b = \sqrt[k]{a}$ とおくことで $\dfrac{b^x}{x} \to \infty$ の証明に帰着する。
- $n \le x < n + 1$ を満たす $n \in \N$ をとって (E 1.2) を用いる。
- (Th 3.9) 平均値の定理の変種 (Cauchy)
- $f, g$ は $[a, b]$ 上 $C^0$ 級かつ $(a, b)$ 上 $C^1$ 級
- $g(a) \ne g(b)$
- $f^\prime, g^\prime$ が同時にゼロにならない
このとき次が成り立つ:
\[\exists \in \xi (a, b) \left( \frac{f^\prime(\xi)}{g^\prime(\xi)} = \frac{f(b) - f(a)}{g(b) - g(a)}.\right)\]-
Rolle の定理を次の関数に適用する:
\[\varphi(x) = \frac{g(b) - g(a)}{f(x) - f(a)} - \frac{f(b) - f(a)}{g(x) - g(a)}.\] - 仮定から $g^\prime(\xi) \ne 0$ でしかないことがいえる。
- この定理は (Th 3.14 Taylor) を証明する鍵になる。