整列可能定理を仮定して選出公理を結論する証明のノート。

選出公理

いろいろな表現で主張されるので、好きなものを挙げておく。

まずもっとも正統な言い回しのものを挙げる:

For any set $E$ of nonempty sets, there exists a choice function $f$ defined on $E$.

  • A choice function is a function $f$, defined on a collection $E$ of nonempty sets, such that for every set $A \in E,\; f(A) \in A$.

論理記号による表現を挙げる(これが書けるようになることは、否定命題を述べることができるようになることと同じだ):

\[\forall X(\varnothing \notin E \implies \exists f(f \in \operatorname{Map}(E, \bigcup E) \forall A(A \in E \implies f(A) \in A))).\]
  • コメント:集合族 $E$ が空集合を含まないとは言っていない。

証明

空集合を要素として持たない集合族 $E$ に対する選出関数 $f$ を構成するのに $E$ の集合全ての和集合をとりそれを $X$ とおく。

整列可能定理によれば、集合 $X$ を整列集合にできる整列順序が存在する。その一つを $\prec$ とする: $(X, \prec)$ は整列集合。

各 $S \in E$ に、整列順序 $\prec$(の $S$ への制限)により定まる $S$ の最小元とを関連付ける関数は $E$ に関する選出関数である。すなわち:

\[f\colon S \longmapsto \min S.\]

証明終わり。

  • コメント:この証明のポイントは整列可能定理を $S$ に個別に適用しないことだ。

参考資料

  • Well-ordering theorem - Wikipedia: 証明のスケルトンをコンパクトにまとめてある。証明の見通しになる。