第 5 章 多様体の位相と微分形式 1/2

ホモロジーの話が多いが、不慣れなので別の本で補わないと苦しい。

  • 曲率形式

  • パフ形式、2n×2n 行列を値とする。

  • ガウス・ボンネの定理→偶数次元リーマン多様体に拡張。

  • オイラー標数の定数倍

  • 特性形式、ホモロジー類上での積分、次元=次数、不変量。

  • 命題 3.4.10 の考察:向き付けの有無と HDRn(M)R と同型になるのか、ゼロと同型になるのかの対応関係。ポアンカレ双対定理はこれの拡張とみなせる。

5.1 多様体の三角形分割

5.1.1 組合せ多様体

まず 定義 3.3.1 前後を復習しておいたほうがいい。特に k 単体、単体複体、重心座標、幾何的表現、面、境界準同型などの用語の定義と性質を思い出す必要がある。

  • リンク

    • K を単体複体とする。

    • 単体 τK に対し、次の性質を満たす単体 σK の全体を Link(τ) と書く:

      • τσ=

      • τ,σ が共通のある一つの K の単体の面となる。

  • 定義 5.1.1: 組合せ多様体 or PL 多様体

    • n 次元単体複体 K組合せ多様体 or PL 多様体 であるとは、各 τK に対し |Link(τ)| が球面 Snp1 と同相な n1 次元組合せ多様体 or PL 多様体であることを言う。

    • この p とは何だ?

    • 定義が再帰的に与えられている。

  • 注意 5.1.2: 単体複体 K の頂点 v について |Link(v)|Sn1 と同相であると言っているのと同値である。

  • 開星状体

    • この概念は 3.3.2 節で定義していた。

    • 単体複体の頂点 vK に対して開集合 O(v)v を頂点とする単体の内部全体の和集合として定義する。

    • K が組合せ多様体であるときは O(v) は開球 Bn と同相である。

5.1.2 三角形分割

C 級多様体は三角形分割可能である。

  • 定義 5.1.3: C 三角形分割

    コンパクト n 次元多様体 M に対して、次の性質がある n 次元組合せ多様体 K および同相写像 |K|M が存在する:

    各単体上で C 級写像である。

    • 先の同相写像のほうを C 三角形分割という。

    • 証明は付録で与えられる。

5.2 ポアンカレ双対原理

この節ではポアンカレ双対原理の主張を最初に述べて、その証明に必要な準備をして、最後に証明を与えるという構成になっている。

  • 定理 5.2.1: ポアンカレ双対原理

    M をコンパクトな向き付け可能 n 次元多様体とする。このとき、チェイン複体のホモロジー群とコチェイン複体のコホモロジー群が同型である:

    Hnk(M)Hk(M).
    • 整数係数のホモロジー、コホモロジーに対して成り立つ(ので実数係数でも成り立つ)。

    • 証明は 5.2.7 節で与える。

5.2.1 基本類

  • 基本類

    • コンパクトで向き付け可能な連結 n 次元多様体 M のホモロジー群は R と同型である。定理 3.4.8 参照。

    • KM の三角形分割とし、{σi}n 次元単体全体とする。

    • n チェイン sign(σi)σi に対して c=0.

      • ただし sign は向き付けられた Mσi との向きの一致を示す符号とする(もちろん一致していればプラスとする)。

      • この c 上での積分は M 上でのそれと一致する:

        c=M:HDRn(M)R
      • この cMZ 係数ホモロジー群の元を代表している。その元を [M] で表し、これを基本類と呼ぶ。

5.2.2 重心細分

K を単体複体とする。

  • 定義 5.2.2: 重心細分

    • 以下、単体 τK の重心を bτ のように表す。

    • 重心細分 bsd(K) とは、次の性質がある k 単体全体であるとする:

      bτm0bτmk

      ただし τm0,,τmk とは K の相異なる次元の単体であり、τmi1τmi の面となる。

      • この単体列における単体同士の包含関係のようなものを τmi1τmi と書く。本書で明示的には言っていないが、これは半順序になるようだ。

  • 重心細分 bsd(K) は単体複体である。

  • 両者の幾何的表現は同じものである:

    |bsd(K)|=|K|.
  • 単体の符号

    次のように取り決める。この規約がチェインの記述に必要となる:

    ej0ejk=sign(i0ikj0jk)ei0eik
  • bsd:C(K)C(bsd(K)) からホモロジー群の同型 bsd:H(K)H(bsd(K)) が得られる。

    • bsd(K)k 単体のうち、ei0eikK を重心細分して得られるものを記述したい。

    1. 添字の置換を J=j0jk とおく。

    2. m(m=0,1,,k) 単体を τm=τm(J)=ej0ejk で定義する。

    3. 2. から単体の列が得られる。この各列が J と一対一対応する:

      τ0τk.
    4. このとき bτ0bτkbsd(K).

    5. 単体の列に符号を定義する:

      sign(τ0τk)=sign(0kj0jk).

      右辺 2 行目の並びは置換 J だ。

    6. 次の和は符号を込めて単体 ei0eik を表現している:

      τ0τk=ei0eiksign(τ0τk)bτ0bτk.
      • シグマ記号の下、メモミス?

      • 各項 ei0eik の向きと一致する。

5.2.3 双対胞体

  • n 次元組合せ多様体 M の三角形分割を K とする。重心細分 bsd(K) の各頂点 bτ に対して O(bτ)Bn が成り立つ。

以下、重心細分 bsd(K) と三角形分割 K との関係を考える。

  • 定義 5.2.3: 双対胞体

    k 単体 τkK に対して、次元が 1 ずつ増加する単体列:

    τkτk+1τn

    の全体を考える。この列それぞれに対して、nk 単体 bτkbτn をとり、その和集合を τk とする。

    • 一般的な状況を記述しているため、直観的にわかりづらい。

  • τkLink(τk)bτk を頂点とする錐体の単体と同型である。

  • τk は閉球 Bnk と同相である。

  • 組合せ多様体はその単体分割の双対胞体を持つ。

  • M が向き付けられていれば、Mbτk における向きが定まるように双対胞体の向きとれる。

5.2.4 単体の向き

k 単体の向きは、それに接する k 個の一次独立なベクトル、k 枠、で表される。

  • 単体の各頂点が一直線上に並んでいないのでこのようなものを考えられる。

  • 定義 5.2.4: v0vk の向き

    • v0,,vkRN を頂点とする k 単体に対し、k(v1v0,v2v1,,vkvk1) がその向きを定めるとする。

    • この向きは k(v1v0,v2v0,,vkvk0) が定める向きと同じである。n 単体 v0vn の部分 k 単体とみなせることに注意。

    • bτ0bτnbsd(τn) の向きと v0vk の向きは同じ。

  • 境界準同型メモ

    • τk を展開したときの τk1 の係数は (1)k である。

    • bτk1bτkbτn を展開したときの bτkbτn の係数は 1である。

5.2.5 多様体の向きと単体の向き

  • 基本類 [M] は次の和で代表される:

    σsignM(σ)σ.
    • ただし σ=ej0ejn.

    • ただし signM(σ) とは、MσK の向きが一致するか否かで 1 または -1 をとるものとする。

  • 双対胞体 τk の向き

    • τk=v0vk とおく。

    • τkτn=v0vn に対して τl=v0vl とおく(意味不明)。

      • τk が向きが正の単体のときは bτkbτn と向きが同じ単体を、

      • τk が向きが負の単体のときは bτkbτn と逆向きの単体を

      考えた和をとる。

    • 本書図 5.5 の解釈に注意したい。一単体 v0v1 から三単体 v0v1v2v3 に至る列(というか経路)が複数ありそうだ。例えば:

      v0v1v0v1v2v0v1v2v3v0v1v0v2v3v0v1v2v3
  • 定義 5.2.5: 双対胞体

    チェインバージョン。

    • M を向き付けられた n 次元多様体、

    • KM の三角形分割、

    • τk=v0vkK に対して、 τkτn=v0vnK を考え、さらに

      τl=v0vl(l=k,,n)

    とする。このとき τk を次で定義する:

    v0vk=v0vkv0vnsignM(v0vn)bτkbτnCnk(K).

    Todo

    記号が間違っている可能性が大。なぜなら l が出て来ないから。

  • 補題 5.2.6: 双対胞体の境界は双対胞体の和で表せる

    v0vk1=v0vk1v0vnv0vk

    記号の使い方を何か工夫したいところだ。

    LHS=(1)signM(v0vn)bτk1bτn=(1)(2)signM(v0vn)bτk1bτn=(1)(2)signM(v0vn)bτkbτn=RHS.

    和の (1), (2) はそれぞれ次のとおり:

    • (1) v0vk1v0vn

    • (2) v0vkv0vn

    1. 最初の等号は 定義 5.2.5 をそのまま適用した? sign の影響を受けないのでシグマの中に入れたのか?

    2. 二番目の等号でシグマが増えている。これは何だ?

    3. 本書によると三番目の等号は次の場合分けの考察による:

      • k<l<n のとき

        signM(v0vl1vlvn) の展開式中の項

        signM(v0vl1vlvn)(1)lk1bτl2bτl

        signM(v0vlvl1vn) の展開式中の項

        signM(v0vlvl1vn)(1)lk1bτl2bτl

        のペアがキャンセルし合う。

      • l=n のとき

        v0vn1vn に対して Link(v0vn1vn)S0 と同相であることより、これは二点からなる。

        ある vnK が存在して v0vn1vn が単体として存在して、v0vn1vnv0vn1 を共有する。

        signM(v0vn1vn)signM(v0vn1vn)=1.

        ゆえに

        signM(v0vn1vn)(1)nk1bτk1bτn1+signM(v0vn1vn)(1)nk1bτk1bτn1=0.

      全然わからない。添字がわからない。

5.2.6 双対胞体のなす複体のホモロジー

  • Cl(K)nl 単体の双対胞体を基底とする加群(自由 Z または R ベクトル)とする。

  • 境界準同型 :Cl(K)Cl1(K) を p. 101 の要領で定義する。

  • 問題 5.2.7: =0

    1. ((v0vn)=v0vk1v0vnv0vn.

    2. v0vk=v0vkv0vk+1v0vk+1.

    3. v0vk1v0vk+1 ならば次の半順序関係が成り立つ:

      v0vk1v0vk1vkv0vk1vkvk+1v0vk1v0vk1vk+1v0vk1vkvk+1
    4. 3. の最初の半順序関係から得られる 1. の展開式中の v0vk+1 の係数はプラスである。一方、3. の二番目の半順序関係から偉えるそれはマイナスであるから、それは =0 を意味する。

    この証明もよくわからない。

  • 補題 5.2.6 は包含写像 Cl(K)Cl(bsd(K)) がチェイン写像であると言っている。

  • Kbsd(K) を有限胞体複体であると考えると、ホモロジー群は M の特異ホモロジー群と同型であることが、ホモロジー群の教科書に書いてあるらしい。

    • 特異ホモロジー群は p. 99 でやった。

  • この包含写像がホモロジー群の同型を導くらしい。

5.2.7 ポアンカレの双対定理の証明

準備が整ったので 定理 5.2.1 の証明を与える。

  1. Ck(K):Ck1(K) を表す k1×k 行列を A=(aij) とする:

    σjk=i=1nk1aijσik1(j=1,,nk).
  2. すると :Cnk+1(K)Cnk(K) を表す行列は (1)ktA=((1)kaji) となる。

  3. 行列は (1)ktA は写像 (1)kδ:Ck1(K)Ck(K):ref:5.2.6<tsuboi08.5.2.6> を用いる):

    Cnk+1(K)Cnk(K)Cnk1(K)(1)k1δCk1(K)(1)kδCk(K)(1)k+1δCk+1(K)(1)k+2δ

したがって Hnk(K)Hk(K) が成り立つ。

  • 注意 5.2.8: この証明は向き付けを持たない閉多様体に対して、Z/2Z 係数のポアンカレ双対定理が成立する。

  • 問題 5.2.9: 奇数次元コンパクト向き付け可能多様体はオイラー標数がゼロ

    1. コンパクト向き付け可能多様体を M とし、dimM=2n+1 とおく。

    2. オイラー標数を計算する:

      χ(M)=k=02n+1(1)kdimHk(M)=(k=0n+k=n+12n+1)(1)kdimHk(M)=k=0n(1)kdimHk(M)+k=n+12n+1(1)kdimH2n+1k(M)=k=0n(1)kdimHk(M)+k=0n(1)2n+1kdimHk(M)
      • 最初の等号は 問題 3.3.3 による。

      • 二番目の等号はシグマを前半と後半とに分割した。

      • 三番目の等号にポアンカレ双対定理を間接的に使用してあるようだ。

      • 最後の等号にポアンカレ双対定理、添字調整、命題 3.3.4 を使用してあるようだ。